(第19回いっくら日本語スピーチコンテスト、優勝スピーチより)
みなさん、こんにちは。
私は三年前に日本人の夫と結婚しました。日本に来た年の夏、お盆を向かえました。
最初はお盆の意味をよく分かりませんでしたが、どうやら、亡くなった仏様が今日帰って来ると言うのです。
夫のお母さんは朝から一生懸命仏壇の掃除をしたり、花やチョウチンなどを飾りました。
そして夫の兄弟が集まったところで、皆でお墓参りに出かけました。実は、私にとってこれが初めてのお墓参り体験でした。
モンゴルでは「仏様が永遠に安らかに眠れますように」ということで、ほとんどお墓参りには行かないし、お墓も遠くの山のほうにありますので、とても怖くて子供は特に連れて行って貰えません。
夫の家のお墓は町の保育園や住宅地のそばにありました。「こんな近くにお墓があるのに、人々はぜんぜん怖くないのですか?」そう思いました。
お母さんはお寺の方から水を運んできてお墓を洗いはじめました。ええ~?お墓を洗うの?
お墓参り初体験は驚きの連続でした。
そしてなにより、チョウチンの火に乗せた仏様を家へ連れて帰るということが今までには聞いたことも想像したことも無かったのでとても不思議な気持ちになりました。
「お父さん、お帰りなさい、家族みんな仲良く暮らしているからご心配しないでね。
今日はお父さんの大好きな料理を作ったから、どうぞ、召し上がってください!」
お母さんは、まるで生きている人間と話しているようでした。
お盆の日は全国的に3日間休んで、みんな実家や田舎の親戚の家に帰ってきてお墓参りに行くと聞きました。
世界の経済を動かす国、ニッポンが仏様のために3日間も休むなんて大丈夫ですか?
お母さんが毎日仏様のご飯を欠かさずに作ってお客さんに手作りのナスやきゅうりの漬物をご馳走します。
その頃町では仏様の帰りを祝って盆踊りと立派な花火大会が開かれていました。
きれいな着物をお召しになった人々の顔に笑顔がいっぱいで、とても素敵です。
こんなにも仏様を大切に迎えているのだから、仏様も喜んでいることでしょ?
そして3日後の朝、仏様を見送る日がやってきました。
お土産に持たせた手作りのお団子やお線香を持って角道へ行く途中に、お母さんがこんな昔話を聞かせてくれました。
「昔ね、仏様たちがみんなお盆に帰ってきたら家族が集まってお線香を上げたりご飯を作ってあげたり、思い出話をしていたんだと。
そして、3日後の帰る時のお土産にお団子を持たせたんだと!
ところが、ある家では、仏様のことをぜんぜん大切にしないし、お土産も持たせないから仏様が怒ってその家に居た赤ん坊を囲炉裏に入れて火傷をさせてしまったんだと!だから、仏様をちゃんと守って、大切にしないとバチがあたるんだよ!という話でした。
私はその話を聞いて少し怖くなりましたが、よく考えてみると、「それほど日本人にとって仏様は大切なものなんですね。
その仏様がお盆の時に家に帰り、兄弟や親戚がみんな集まることで、家族の絆を確かめ合ってより深くなり、故郷の文化や歴史や知恵を忘れずに過去から未来へ伝えるんだね?これは何という素敵な文化なんでしょう?
私は日本人と結婚したモンゴル人です。
母国モンゴルの文化を尊敬しながら、この日本の素敵な文化も自分の子供たちや孫たちに伝えていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
みなさん、こんにちは。
私は三年前に日本人の夫と結婚しました。日本に来た年の夏、お盆を向かえました。
最初はお盆の意味をよく分かりませんでしたが、どうやら、亡くなった仏様が今日帰って来ると言うのです。
夫のお母さんは朝から一生懸命仏壇の掃除をしたり、花やチョウチンなどを飾りました。
そして夫の兄弟が集まったところで、皆でお墓参りに出かけました。実は、私にとってこれが初めてのお墓参り体験でした。
モンゴルでは「仏様が永遠に安らかに眠れますように」ということで、ほとんどお墓参りには行かないし、お墓も遠くの山のほうにありますので、とても怖くて子供は特に連れて行って貰えません。
夫の家のお墓は町の保育園や住宅地のそばにありました。「こんな近くにお墓があるのに、人々はぜんぜん怖くないのですか?」そう思いました。
お母さんはお寺の方から水を運んできてお墓を洗いはじめました。ええ~?お墓を洗うの?
お墓参り初体験は驚きの連続でした。
そしてなにより、チョウチンの火に乗せた仏様を家へ連れて帰るということが今までには聞いたことも想像したことも無かったのでとても不思議な気持ちになりました。
「お父さん、お帰りなさい、家族みんな仲良く暮らしているからご心配しないでね。
今日はお父さんの大好きな料理を作ったから、どうぞ、召し上がってください!」
お母さんは、まるで生きている人間と話しているようでした。
お盆の日は全国的に3日間休んで、みんな実家や田舎の親戚の家に帰ってきてお墓参りに行くと聞きました。
世界の経済を動かす国、ニッポンが仏様のために3日間も休むなんて大丈夫ですか?
お母さんが毎日仏様のご飯を欠かさずに作ってお客さんに手作りのナスやきゅうりの漬物をご馳走します。
その頃町では仏様の帰りを祝って盆踊りと立派な花火大会が開かれていました。
きれいな着物をお召しになった人々の顔に笑顔がいっぱいで、とても素敵です。
こんなにも仏様を大切に迎えているのだから、仏様も喜んでいることでしょ?
そして3日後の朝、仏様を見送る日がやってきました。
お土産に持たせた手作りのお団子やお線香を持って角道へ行く途中に、お母さんがこんな昔話を聞かせてくれました。
「昔ね、仏様たちがみんなお盆に帰ってきたら家族が集まってお線香を上げたりご飯を作ってあげたり、思い出話をしていたんだと。
そして、3日後の帰る時のお土産にお団子を持たせたんだと!
ところが、ある家では、仏様のことをぜんぜん大切にしないし、お土産も持たせないから仏様が怒ってその家に居た赤ん坊を囲炉裏に入れて火傷をさせてしまったんだと!だから、仏様をちゃんと守って、大切にしないとバチがあたるんだよ!という話でした。
私はその話を聞いて少し怖くなりましたが、よく考えてみると、「それほど日本人にとって仏様は大切なものなんですね。
その仏様がお盆の時に家に帰り、兄弟や親戚がみんな集まることで、家族の絆を確かめ合ってより深くなり、故郷の文化や歴史や知恵を忘れずに過去から未来へ伝えるんだね?これは何という素敵な文化なんでしょう?
私は日本人と結婚したモンゴル人です。
母国モンゴルの文化を尊敬しながら、この日本の素敵な文化も自分の子供たちや孫たちに伝えていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
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